約束していた時間ちょうどに実家に着いた私達を両親は笑顔で出迎えてくれた。
そんな2人に「はじめまして。あいさんとお付合いさせて頂いています、桐生圭です」と挨拶した圭さんは、さっきまでの緊張が嘘のようにキリっとした顔をしている。
和室の客間にテーブルを挟んでお父さんと私達が向かい合って座る。
お茶を出していたお母さんがお父さんの隣に座ったのを見計らって圭さんは徐に口を開いた。
「あいさんからお聞きになっていると思いますが、今日はあいさんとの結婚のお許しを頂きたくてお邪魔しました。ご両親が大切にされてきたあいさんをどうか僕に下さい」
はっきりとした口調で真っ直ぐにお父さん達を見ていた圭さんはそう言うと、静かに頭を下げた。
車の中では緊張していたはずの圭さんなのに、今はとても堂々としていて。
両親に向けてくれた飾らないその言葉が、すごくすごく嬉しい。
思わず、隣で頭を下げている圭さんを見つめて涙ぐんでいると、黙って聞いていたお父さんが圭さんに静かな声で訊いた。
「あいを幸せにしてやってくれますか?」
「はい、もちろんです。誰よりも幸せにします」
お父さんの問いかけに顔を上げて、真っ直ぐに何一つ戸惑うことなく答えてくれた圭さんは、凛としていて、頼もしくて。
やっぱり世界一、素敵でかっこいい。
「あいはどうだ?お前は圭君を幸せにできる覚悟はあるのか?」
いきなり私に矛先が向いて、一瞬、驚いてしまったけど、私はすぐにお父さんを見つめて、はっきりと答えた。
「うん。私も誰よりも圭さんを幸せにする」
「・・・そうか。圭君、あいをよろしくお願いします」
私の答えにお父さんは堅かった表情をやっと和らげた。
「はいっ!お約束します。ありがとうございます!!」
圭さんは満面の笑顔でもう一度、頭を深々と下げた。
そして、テーブルの下で隣の座る私の手をぎゅっと握った。
今の嬉しい気持ちを込めるように握られたその手を私も同じ思いを込めて握り返した。

