私の準備が整ったところで、私達は圭さんの車で私の実家へ向かった。
「ふぅ・・・」
赤信号で止まった瞬間、圭さんが耐え切れないとばかりに溜息を吐き出した。
運転席の圭さんに視線を向けると、整いすぎのその横顔がまた少し、緊張で強張っているように見えた。
「圭さん、また緊張してきちゃったの?」
「・・・あいのご両親に会うんだし、やっぱり緊張はするよ。しかも、結婚のお願いに行くんだからね」
私の実家へ行く目的は、両親に結婚の承諾をもらうため。
初めましての上に、大きな目的があるから余計に気負ってしまうのかもしれない。
きっと、私が逆の立場でも同じだろう。
いや、私ならもっと酷いかも。
「大丈夫。うちのお母さんなんて、電話で伝えただけなのに圭さんのことすごく気に入ってるみたいだし、お父さんも頭ごなしに反対するような人じゃないから」
圭さんの気持ちを少しでも楽にしたくて言った私の言葉に、圭さんは苦笑いを浮かべた。
「なんかハードルが上がってる感じだね」
「えっ、そんなこと・・・」
「嘘、冗談だよ。ありがとう。本当の僕も気に入ってもらえるように頑張るよ」
そう言った圭さんは緊張が少し解れたのか、いつもの優しい笑顔で笑ってくれた。
ミーハーなお母さんと温厚なお父さん。
こんな圭さんを見て向き合えば、お父さん達だって反対なんてしないはず。
だって私が誰よりも大好きな人なんだもの。
「圭さんは私にとって世界一素敵な人だから絶対大丈夫」
恥ずかしい台詞に自分で言って真っ赤になる私を圭さんはびっくりした顔で一瞬だけ振り返って、すぐに前に向き直る。
「・・・・・あいってホント、僕を喜ばせるのが上手だね」
前を向いている圭さんの顔が赤く染まった。

