「でも圭さんいつ指輪なんて・・・」
圭さんが指に嵌めてくれた指輪を見つめながら、私が呟くように訊くと圭さんも微笑みを浮かべて指輪に視線を落とした。
「当直の引き継ぎをした後にね」
「じゃあ、片付けなきゃいけないって言ってたお仕事をしないで買いに行ってくれたの?」
当直明けで疲れているのに。
片付けなきゃいけないお仕事があったのに。
私が申し訳ない気持ちになって眉を下げていると、圭さんはクスリと笑って私の頬を撫でた。
「仕事はなんとでもなるから大丈夫。それよりも僕は今日、あいにプロポーズしたかったからね」
プロポーズに指輪は大切でしょ?
なんて言って口角を上げる圭さんは見惚れるくらいかっこよくて。
ドキドキと鼓動が高鳴る。
不整脈とは全然違うけど、圭さんと一緒にいると別の意味で心臓が壊れてしまいそう。
真っ赤になった私に向けられる圭さんの笑顔が眩しくて、目を伏せた。
「じゃ、じゃあどうしてサイズがわかったの?」
「それは企業秘密」
圭さんはクスクスと軽い笑みを零しながら、悪戯っぽく言った。
「え?」と顔を上げて首を傾げる私に圭さんはさらに笑みを深めて可笑しそうに笑った。
「冗談冗談。まあ、それだけ僕があいのことをよく見てるってことだよ」
ふふっと吐息を零す圭さんはそう言いながら、指輪の上にキスを落とした。
「う・・・」
言葉を詰まらせてこれ以上にないほど真っ赤になる私を圭さんはキュッと抱き締めて、珍しく声を上げて笑った。