大浴場を出ると今回もまた、先に出ていた圭さんが待っていてくれた。


色々と意識し過ぎているのと、湯上がりの圭さんはやっぱり色っぽくて、目のやり場に困ってしまうから。
私は圭さんに近づくと小さく彼の名前を呼んだ。


「圭さん・・・待たせてごめんなさい」


「大丈夫。全然待ってないよ」


にっこりと笑いかけてくれる圭さんにドキンと鼓動が跳ねる。
それと同時にじんわりと広がる甘くて温かな想い。



大好き。



私の体中に広がって、逆上せ気味の体温をさらに上昇させる。


「また逆上せた?」


圭さんが火照っている私の頬に指先を伸ばした。
すぅーと線を引くようにその指先で頬を掠められる。
優しい微かな感触に甘い痺れが背筋に走った。


「湯冷めしないうちに部屋へ戻ろうか」


「・・・うん」


頬を掠めたその手で私の肩を抱いて、ゆっくりと歩き出した圭さんに寄り添いながら、私も一歩踏み出した。


圭さんに抱き寄せられている肩が、彼の胸に寄り添っている半身が熱い。
その熱が体中に広がる。


高鳴る鼓動の音が圭さんに聞こえてしまいそうで恥ずかしい。


でも。
寄り添う圭さんの胸の鼓動も少し速く感じるのは、気のせいかな?


少し速いその鼓動を聞いていると、堪らなく幸せな気持ちになれた。



圭さんも私と同じ気持ちなら、いいな…―――