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私は念のためと言われて、一晩だけ東都大病院に入院した。


一晩中、圭さんは病室で私のそばについていてくれた。
付き添いが必要なわけでもないのに、圭さんは『あいのそばにいたいから』と言って病室に泊まってくれた。


そんな圭さんの気持ちが嬉しくて。
本当はお仕事もあるだろうし、疲れてもいるだろうから帰って休んでもらうべきなのに。
わかっていても、離れたくないと思う私は圭さんの優しさに甘えてしまった。


夜遅くまで、2人で他愛ない話をして、いつの間にかそのまま寝ていた。


なんだかとても、心が満たされた・・・そんな夜だった。



翌朝、矢野先生の簡単な診察を受けて、私は無事に退院出来た。


私の職場である大学の図書館へは、圭さんから昨日のうちに連絡してくれたらしくて。
私は今週いっぱい、お休みをもらうことになった。


すっかり胸の苦しみもなくなって、体調も元通りの私は、不意にできてしまったお休みが申し訳ないような気になったのだけど。
お休みを返上して仕事に行くと言った私に、珍しく圭さんが『ダメ』と強い口調で言って許してくれなかったから、私は結局、数日間のお休みを取ることにした。