「・・・・・け、い・・さん?」


とても重い瞼をゆっくり開けると、そこには心配そうな顔をした圭さんがいた。


私を覗き込む圭さんの後ろに見える見覚えのない白い天井。
少し糊の効きすぎたシーツの感触と、固めのベッド。
そこに自分が横になっているんだと、ボーっとする頭で気付く。
心配そうな圭さんの瞳が揺れている気がして、私は無意識に彼の頬に手を伸ばした。


「圭さん、どうしたの?」


自分の置かれた状況がまだ理解できていなくて。
長い夢を見ていたような覚醒仕切れていない頭で考えても、どうして圭さんがこんなに泣きそうな顔をしているのか、わからなかった。


「・・・・・あい・・あいっ!」


小さく私の名前を呼んだかと思うと、圭さんは横になっている私をギュッと抱き締めて、叫ぶように私の名前を繰り返した。


ギュッとただ強く抱き締められている私は、圭さんの腕の中にいるというだけで、不思議な安堵感に包まれる。
この腕の中にいられれば、私は無条件で幸せなのだと、そう思った。