『あい・・・何、言ってるの?』
『圭さん、私、もう行かなきゃいけないみたいなの。でもね・・・いつかまた必ず圭さんのところへ帰ってくるから。だから・・・・・悲しまないで』
腕の中のあいを見下ろすと、あいはとても綺麗な顔で笑っていた。
今まで見た中で、一番綺麗で、そして・・・儚いその笑顔に僕は言い知れない焦りを感じた。
『あい、どこにも行かないで!僕とずっと一緒にいて・・・』
『ごめんなさい。それはできないの。でも信じてね、私は本当に幸せだった。本当に圭さんが大好きだった』
『あいっ!!』
僕の腕の中にいたはずのあいが、いつの間にか僕から離れて立っていて。
あいを捕まえようと手を伸ばすのに、なぜかその距離がまったく埋められない。
『あいっ!!!』
叫ぶように名前を呼ぶ僕にあいは、とてもとても綺麗に笑っていた。
『圭さん・・・いつか必ず、あなたのもと
に帰るから・・・・・』
消えゆく意識の中で、あいの優しい声が聞こえていた。

