それなのにあいが呟いたのは紛れもなく僕の名前で。
僕は瞳を伏せたままのあいを何度も瞬きを繰り返しながら見つめた。
「圭さん・・・なの?」
さっきよりもずっとはっきりした声で。
でもまだ少し不安そうにもう一度呟いた。
あいは伏せていた瞳を上げて、僕をじっと見つめている。
その瞳は不安げに揺れているけれど、その奥には芯の強そうな輝きがちゃんと見える。
僕の心の中にあったその瞳に現実に見つめられて、心が震える。
「圭さん?」
返事を返さない僕にあいが焦れたように、もう一度名前を呼んだ。
僕は彼女に名前を呼ばれることが嬉しくて、ふわりと自然に笑みが溢れた。
「そうだよ。僕は圭だ」
「・・・・・」
肯定した僕の言葉に、あいが息を呑む。
そして大きな瞳があっという間に涙に潤んでいく。
「圭さん・・・」
あいは両手で顔を覆って静かに泣いた。
「あい・・・」
僕が名前を呼ぶとあいはそっと指先の間から僕を見つめる。
涙に濡れたあいの瞳はとても綺麗だった。

