でも、やっぱりあいは黙ったままで。 話し終えた僕はそれまでの緊張を吐き出すように、細く溜息を吐いた。 「・・・ごめんね、混乱させてるよね?」 僕が小さくかけた言葉に、あいは僕をじっと見つめる瞳を伏せるように瞑った。 「・・・圭さん?」 「え・・・・・?」 あいが吐息に消えてしまいそうな小さな声で呟いた言葉に僕はびっくりして、息を呑んだ。 それは、僕の名前だった。 でも・・・僕はまだ彼女に自分の名前を名乗っていない。