魔法のキス


「私もいろいろ考えたんだけど。おじさんがリハビリして回復しても、数ヶ月はかかるんでしょ?その間、おばさんひとりで支えるのは無理だし、仕事も他の人に頼むことはできないのよね?」


「そうなんだよ。いくら考えても、東京の大学にこのまま通うのは無理だ」


「そうするしかないのかな、やっぱり。辛いね」


「そうだな。せっかく受かったのにやめるのは悔しい気もするけど。朋花が東京に行っちゃっただろ。それで俺も勢いで東京の大学受けて、まさか受かるとは思ってなかったんだ。だけどな〜入ってみると大変だ。学費や生活費を稼ぎながら、単位も落とさないようにしなくちゃならないんだから。まだ入ったばかりなのに、挫折しそうなんだよ。だから、これで良かったのかもしれない。オヤジのこと、ほっといて出ていくのも間違ってたんだよ」