魔法のキス


正直、親の介護などということは考えたことは、ほとんどなかった。
私も雄馬も、両親はまだ40代だ。
雄馬のお父さんは50代だが、それでもまだまだ若く、普通ならバリバリと働いている年齢なのだ。


「朋花、話があるんだ。今から俺のうちに来てくれないか?」


「うん。いいよ」


これからのことだろう。
でも、別れるという話なら嫌だなと思った。
病院から雄馬の車で、雄馬の実家へと向かった。


「俺の部屋に行こうか。エアコン入れるよ。まだまだ暑いな〜」


家に着いて雄馬の部屋に入った。
雄馬の部屋に入るのは初めてだ。
2階の部屋だ。
机とベッドがあり、折りたたみ式こ小さ
なテーブルが置いてある。


「何か飲み物取ってくるよ」


雄馬はエアコンのスイッチを入れて、トントントンと階段を下りていった。
私はベッドに腰掛けた。


「ほら、これでいいか?ジュース」


「うん。ありがとう」


「朋花」


ジュースをテーブルに置いた雄馬が、私を抱き寄せてキスをしてきた。