魔法のキス


すぐに病院の中から雄馬が現れた。
なんだか、何ヶ月も会ってなかったような気がした。


「雄馬」


「朋花。病室は東棟の8階だよ。行こう」


お花などお見舞いの品はどうしようかと迷ったが、雄馬のお父さんの状態がよくわからないので、とりあえず先に顔を見たいと思った。
神戸には3日間いるので、お見舞いは次の日に改めてという方がいいと思った。


「うん。早くおじさんの顔が見たいよ」


病室は2人部屋だった。
病室に入ると、雄馬のお父さんのベッドのそばに、お母さんが座っていた。
お母さんは振り向いて私を見た。


「朋花ちゃん。来てくれてありがとう」


立ち上がって、そう言ったお母さんは、私に抱きついて泣いた。


「おばさん。大変でしたね。私もビックリしました。おじさんは眠ってるようですね」


雄馬のお父さんは、目を閉じていたので、話しかけるのはやめておいた。


「雄馬がいないから、私ひとりでオタオタしちゃってね」