魔法のキス


「ごめんなさーい。許してー」


沢田さんはいつも池内さんに作ってもらってるのだろうか。


「ほんとにいいの?沢田さんって池内さんの彼氏?」


池内さんの眉間にシワが……



「なんであんなやつが彼氏って思うのよー!全然違うから!ここではほとんどみんなで作ったものを分けてるのよね。男たちはそれを狙ってきてるだけ。っていうか佐和美でいいからね」


はぁ……
私、シェアハウスの住人に向いてないかもしれない……



呼び方とか話し方とか食事とか、いちいちこうしてとか言われるのはなんだか嫌だなー。


「じゃあ、佐和ちゃんでいい?」


「うん、いいよー。さ、食べて食べて」


池内さんの作ったパスタを頂く。
う……不味い……


「美味しい」


「ね、これから朋花ちゃんも夜は一緒にご飯作ろうよ。楽しいよ」


なんだか家に帰っても働いてるような気がしてきそう。
でも慣れるしかないかな。


「そうだね、佐和ちゃん料理教えてね」


「任せなさい」


任せたくない。