魔法のキス


あ、そうだ。
シェアハウスのリビングのテーブルに、お皿にラップをして、誰か食べて下さいみたいな紙を置いてあるのをよく見る。


私もそれやってみよう。


今日の夕飯はなんにしようかなー。
肉まんじゃ物足りないし。


ま、取り合えずリビングにこれを置いてからコンビニでも行こう。


シェアハウスに戻り、リビングにある食器棚から大きめのお皿を取り出した。
食器もお鍋やフライパンも自由に使っていいのだ。


ー良かったら食べて下さいー
そう紙に書いていると後ろから声がした。


「おっ!肉まんじゃん。これ食べていいの?」


振り返ると、顔はなんとなく知ってるが名前がまだわからない男性だった。


「はい。私、村野中屋に勤めているんですけど、余り物をもらって食べ切れないので、良かったら是非」


「すげー村野中屋のうまいんだよな。じゃあ遠慮なく。あ、俺は沢田っていいます。よろしく。そちらは?」


「真鍋です。よろしくお願いします」


沢田さんか。
男性は少ないから覚えられそう。


「あ、もう一度チンして下さいね」


「オッケー」


良かった。
誰も食べてくれなかったら恥ずかしい。