魔法のキス


そういうことを全部母に何度も話したんだけど、理解は出来ないらしい。


でも東京にいても、シェアハウスには住人以外は出入り出来ないのだ。


どうするのだろう。
たぶん職場にもお客として現れるのだろう。


「お母さん、神戸のお店誰に任せたの?」


母が行かないと、不満に思うセレブの奥様ばかりだろうに。


「あ、紗都美さんよ。朋花がこっちに来てからずっと手伝ってもらってるの。お客様にも気にいられてるし、紗都美さんすごく品があるでしょ。冬人もいいお嫁さんもらったわほんとに。冬人はなんでも完璧だから」


お兄ちゃんのお嫁さんか。
悪かったわね、まるで完璧という言葉とは縁のない娘で。
品もないし。


「ふぅん。良かったね」


まぁ私は完璧な人間にもなりたくはないし、品もいらないけど。


「ママずっと東京で暮らそうかしら。東京ってやっぱりいいわねー。なんだか楽しくなってきたわ。ママもずっと働くばかりだったから、いろんなところへ行ってみようと思ってるの」


遊びの為にここに来たの?
私のことは口実で。


まぁゆっくりすればいいよ。
もしかすると私はお母さんに似てるのかも?ほんとはお母さんは私みたいな性格なんじゃないかな?