魔法のキス


ピザを食べ終わり、2人で片付けをした。


「店長、先に歯磨きどうぞ。私はお布団敷いておきます。寒いから布団の中で話しましょう」




私は歯磨きをしながら、あることに気がついた。


坂口さんがこのアパートを借りたのは、前に付き合っていたひとの為なんじゃないだろうか。


きっとそうだ。
いま坂口さんが敷いている布団で、前の彼氏とめくるめく夜を……。


ああ、今日はこんなことばかり考えてしまってるわ。
やめよやめよ。


「店長、歯磨き終わりました?じゃあ、お布団に先に入っててください。寝巻きはスウェットしかないんですけど、これどうぞ」


坂口さんがスウェットを貸してくれた。


「暖房はまだつけておきますね。3時間経てば自動的に消えるタイプなので、危なくはないと思うので」


そう言って坂口さんも布団に入ってきた。