魔法のキス


坂口さんがコーンスープを持ってきてくれ、ピザを食べはじめた。


「あ、話の途中でしたよね。なんでしたっけ?」


えっと、どこまで聞いたのかな。


「なんだったか私も忘れたわ」


「あ、そうそう、店長はひとりでしないのかって話でしたね」


思い出したんかい。


「その、ひとりでって聞いたことはあるけど、みんなやってるものなの?」


「どうなんですかね?私もほんとは友達とはそんな話はしたことないんですよね。私の場合父親がエッチな雑誌を隠していたのをみつけて、それを見てなんか変な気持ちになったんです。女の人の身体ってすごくエロいな〜と思いました」


確かに。
さっき銭湯で見た坂口さんの身体はエロくてずっと見ていたい気持ちがした。
男が抱きたくなる気持ちがわかるような、変な気持ちになったのだ。


「さっき言った自分の敏感なところがわからないのよ。私は」


「そうなんですか。彼氏とのエッチの時は感じるんですか?」


「感じるの意味もあまりわからないんだけど」


やっと痛いのがなくなったところだもの。


「エクスタシーを感じたことがないんですね。そういうことがわからないと」



そう、そんなのあるの?って感じだ。
男の人みたいに女もなるのだろうか。


「わからない。坂口さんはあるのよね?どんな感じ?」


「うーん、口で説明するのは難しいかも」


それはそうかもしれないな。