魔法のキス


バスタオルも借りた。
後で洗濯が大変だろうな。
でもアパートの部屋に洗濯機はあったかな?


「ごめんなさいね、洗濯物を増やしてしまって」


「いえ、いつもコインランドリーでするので同じですから大丈夫です」


コインランドリーでしてるのか。


「コインランドリーってどこにあるの?」


「この銭湯の隣にもありますし、他の場所にもありますよ」


大変なんだな。
でも、大変という言葉は失礼なような気がして言わなかった。


ドライヤーだけは2つ設置してあったのでそれを使った。
乾いた髪が少しパサパサした。


私の使っているシャンプーは市販のものではない。
1本3000円のものをネットで取り寄せている。


何もかもが、私の生活が普通ではない気がした。


普通の女の子に戻りたいと言って引退した歌手がいたと、昔母から聞いたような気がするが、私も普通の女の子になりたいと言いたくなった。


そして漠然としていた思いがハッキリと形になり、決心へと変わりはじめるのがわかった。


自立しよう!


私はもう親の操り人形は嫌だ!