雄馬の言ってることは良くわかるし、私のことを大事に思ってることもわかる。
そして、たぶん私が上京してからすぐに受験勉強もはじめて、私との結婚も真剣に考えてくれて、プロポーズもしてくれ指輪もイヴに買ってくれた。
ずっとずっと大好きだった人と、確実に結婚へと向かっている。
だけど……。
何故か私の気持ちが、素直に喜べないでいる。
あの父親を説得までして、ここに一緒に住めるというのに、何故私はこんなにも気持ちが冷めているのか……。
それは雄馬も私の両親も、私の存在を無視するような、私の意思を無視するようなことをしたからだ。
全部私の為。
それはわかっているのだけど。
どうして、その場その場に私はいなかったの?
どうして雄馬は大学のことも、私の両親に承諾をもらうことも、私には一言も言わなかったの?
自信がなかった。
そう雄馬は言った。
じゃあ大学も結婚もダメだったらどうしたの?
諦めたの?
どうしても納得できなかった。
私のいないところで何もかも決まってしまって、私はやはり親の操り人形で、雄馬もそう思っているから、まずは両親にと思ったのだろう。
私はなんなの?
私は一人の人間なのよ!

