魔法のキス


パカッ
雄馬が炊飯器の蓋を開けた。


「朋花くん、ご飯が炊けてませんよ」


あんたは姑か!


「ご飯はね、冷凍したのがあるから。いつも毎日一人分だけ炊くのは大変だから、残りを冷凍してあるのよ」


ほんとは炊きたての方が美味しいのかもしれないが、間に合わないし、そのくらい見逃してよ。
レンジでチンすれば炊きたてに戻るんだし。
小姑さん。


「あ、そういう知恵がお前にもあったのか。恐れ入りました」


「バカにしてるでしょ、私のこと」


「いいや、大好きだよ。朋花」


そう言って後ろから抱きしめられた。
キュン。


「ちょっと、包丁で白菜切ってるんだから危ないよ。TV観てなさい」


「じゃあチューだけ」


「ん」


チュッとして向こうに言ってくれた。
ちょっとうるさい小姑だけど、雄馬って甘えん坊なところもあるのかな。


少しずつ、雄馬のいろんな面が見えて嬉しい。