魔法のキス


1月中旬の土曜日に雄馬が来た。


3時に原宿駅で待ち合わせをし、明治神宮に初詣に行く約束をしていた。


坂口さんに閉店まで任せて行くことにしたのだ。


原宿駅からは歩いて30分くらいなので、2人で歩いて行くことにした。


「雄馬、今日はこっちにお昼頃にきたのよね?」


「えっ?うん、そうだよ、なんで?」


なんでって別に聞いただけなのに、何か歯切れが悪い。


「ううん、なんでもないよ。今日寒いね、歩くの失敗したかな」


私はババシャツを着て、赤のダウンコートに、モコモコマフラーしてるから大丈夫だけど、雄馬はこの前着てたコートに、私が片想いしてるときにプレゼントした、マフラーをしてるだけだ。


「大丈夫だよ。朋花と手を繋いでるし、ポケットの中で」


うふふ。
繋いだ手をポケットにいれて歩くの、夢だったんだよね。


冬にしか出来ない幸せだわ。
恋人同士って、ちょっとしたことが、とても幸せに感じることがたくさんある。


恋人っていうか婚約者?
まだハッキリ決まってないから違うか。


雄馬、この手を絶対に離さないでね。
お願いだから。


言葉にした方がいいのか、わからないうちに明治神宮に着いた。