魔法のキス


坂口さんが慌ててショップの前を走り、裏口の方に回るのが見えた。


私は、坂口さんが着替えをする前に声をかけた。


「坂口さん、お客様に缶コーヒーを買って来て欲しいの」


「あ、おはようございます。お客様すごいからビックリしました。わかりました、すぐに買ってきますので」


坂口さんが戻り、みんなに缶コーヒーを渡した。


「年賀状見て今日は絶対に行かなくちゃって思ったんですよ」


「私も私も!」


誰も来ないと思っていたのに、わからないものだな。


「ありがとうございます。みなさんのお気に入りがあるといいのですが」


「ここの洋服なら全部欲しいくらいだから、絶対大丈夫です!」


「私はもう中身見てしまった。可愛いのがたくさん入っててサイコー。来て良かった」


その言葉を聞いた他のお客様も、袋の中を覗きはじめた。


「わぁーほんとだ!全部可愛い!」


店内がザワザワと騒がしくなった。
みんなキャーキャーと言っている。