魔法のキス


「お待たせしました。どうぞー」


坂口さんはまだ来ていなかったが、お客様を待たせるわけにはいかない。


「わーい。福袋、福袋ー!」


並んでいた6人が福袋に飛びつくように、福袋を置いてあるワゴンに近づいた。
中身は見えないようにしてある。


「朋花さん、私はこれを」


宮嶋さんが一番に福袋を選んだ。


「ありがとうございます。宮嶋さんもみなさんも寒かったでしょう。暖房もまだ暖まらないので、後でホットコーヒーのサービスをさせて頂きます。店内でお待ちくださいね」


坂口さんが来たら、缶コーヒーを買って来てもらおうと思ったのだ。