「あれ、いいじゃん朋花」
「雄馬、金額見てよ」
私が小声で答える。
「あれなら買えるぞ」
「えっ?まさか」
「カード使えるだろ」
使えるけど、クリスマスプレゼントの金額じゃないよ〜20万以上するじゃん!
「どうぞ。お客様にすごくお似合いだと思いますよ」
そう店員さんに言われて、仕方なく指にはめてみた。
可愛い。
でも、こんなの買ってもらうわけには……。
「どうだ?朋花」
「うん、可愛いね……」
「これ、お願いします」
と雄馬が店員さんに言う。
ちょっと!正気?この人。
「雄馬、無理しないで!」
私の声はふたりにはもう届かないようだ。
「ありがとうございます。サイズもピッタリのようですので、そのままはめていかれますか?」
「そうします」
何がそうしますよ。
知らないからね、もう。
「では、ケースと保証書を用意してまいりますので少々お待ちください」
店員さんが空のケースの入った紙袋を渡してくれ、店を出た。
「ありがとうございました。よいクリスマスイヴをお過ごしください」
ひえぇぇぇ。
買ってもらったよ、こんな高いもの。

