夕方6時。


今日は、ほとんどお客様も来なかった。
休みにしても良かった感じだ。



でも、母の命令には逆らえない。
店員の女の子も、今日は彼氏とイヴを迎えると言うので、早めに閉めることにした。


雄馬に電話をする。


「もしもし。終わったよ、部屋にいるの?」


「おう。TV観てた。今から行くよ」



駅で雄馬と落ち合う。


「さ、プレゼント買いに行くか」


「うん、どこに行くの?」


「昼間、この近くでみつけたんだ」


なんの店かは言わずに歩き出す。


アクセサリー?いや、宝石屋さんだ。
その前で雄馬が立ち止まる。


「ここだよ」


「えっ?高そうだよ、ここ」


「大丈夫だよ」


ここは安くても、10万以上のものしか置いてない高級宝石店だ。
雄馬、知らないで入ったんじゃないの?


「朋花、好きなのあるか?」


「ない……」


高すぎるから!


「指輪だよ、欲しくないのか?」


「欲しくないわけじゃないよ」


だから、高すぎるから!


「あれなんかどうだ?」


その時、店員さんが近づいてきた。


「いらっしゃいませ。クリスマスプレゼントでございますか?そちらのは幸せになるという石が七色入れてある、レインボーの指輪でございます」


ほらほら店員さんに捕まったよ。



どうするの?
冷やかしだと思われたら恥ずかしいよ。