「──あの無理しなくても良いんですよ?」
私が運転する車の助手席には香坂さん。
母は、デートだから、と言って一人で帰っていった。
「母はあんなこと言ってましたけど、気にしないでくださいね。本当、調子だけが良いから…。」
『無理なんてしてませんよ、僕は。』
「はぁ…。」
終始笑顔の香坂さん。
なに考えてるか分からない。
苦手なタイプだなぁ…
『いつからバスケしてるんですか?』
「──あの、」
『はい?』
「敬語、やめません?」
実のところ、香坂さんの敬語が気になって仕方なかった私。
私が香坂さんに敬語を使うのは当たり前のことだ。
私の方が、香坂さんよりも3つも下だし。
けど──香坂さんは、ね。
『じゃぁ、お言葉に甘えて。バスケはいつから始めたんだ?』
「7才の頃からです。小学校の地域のバスケットチームに入って、それからずっと。」
『へぇ…。』
「香坂さんは高校のとき部活とかしてたんですか?」
なんとか、話題を絶やさないように頑張る。
『ぁあ、サッカーをね。』
格好いいな、いちいち。
「へぇ。じゃぁ、さぞかしモテたんじゃないですか?香坂さん、格好良いから。」
『どうかな、それは。』
モテたな、これは。
わざわざ濁さなくてもいいのに。

