音に乗れ!

「あ!見て!」
少しぼーっとしていたら、沙代が声を上げた。

「ざわざわバッテリー、じゃれてんだけど。」

可愛いー超可愛いーよー。写メっちゃおうかな。と言う沙代の声に今度は思わず頷く。
足を伸ばし前屈をする大輔くんの背中を初沢くんが押してて、そのまま乗っかって怒られていた。

倒されながら右手で背中に乗った初沢くんを叩く大輔くんは、本当に可愛い。

いいな。私もじゃれ合いたい。

人にちょっかいを出す初沢くんは、無邪気で人気者だ。

そんな初沢くんにちょっかいを出される大輔くんは、クールでカッコいい。
好き!大好き!っと本当はすごく思うんだけど、これは沙代にも秘密だ。

見てたい。ずっと見てたいのに、顧問の大宮先生が音楽室に入ってきたので、私たちは窓を閉め、席に戻る。
「おはよう。おはよう。」大宮先生は大きな声であいさつをしながらずんずんと指揮台に向かった。