音に乗れ!

個人練習の時間が終わり、教室のあるA棟から音楽室のあるB棟に戻る。

2階の2年1組の教室を片付け、階段を降りて1階の渡り通路に向かう。

2階から上は渡り廊下になっているが、1階だけは外に出てなければならない。
そこは給食や先生、保護者の車などが通るからだ。

『あっつう!』

ジリジリ肌を焼く太陽があると知りながらも、わざわざ1階のそこを選ぶのは、そこで野球部がトレーニングをしている可能性があるからだ。


今日はいるかな。大輔くん。


『あーいないねぇ野球部。』

左手に譜面台を、右手にトランペットを持った沙代は悲しそうに見渡す。