音に乗れ!

三郷市立第五中学校の吹奏楽部は
必ず関東大会にいくほど上手くもなく、予選で必ず消えるほど弱くもなかった。

お盆の前に1つ上の先輩たちが予選で敗退し、涙の引退を果たした。


コンクールに出場した沙代は毎日予選で敗退したことを悔しがり、時間を戻したいと言った。


『今日さぁ新部長発表されるよね?』

ぐったりとした体を突然起こした沙代のツインテールはサラサラと揺れる。

『先生そんなこと言ってたっけ?』


『言ってないよ。でもきっと今日だよ。』


絶対だよ。と言いながら、沙代は窓に向かう。


『あー初沢君超ーかっこいい!』

『え?野球部いるの?』

『いないよーいないけどかっこいいんだよー!』


沙代はいつも、一気に急な話をする。