音に乗れ!

沙代は自然な感じで、クラスメイトな感じで大輔くんと話す。

「大輔1個ちょうだーい。」

大輔くんは「ん。」とアイスの実の箱を差し出す。
さんきゅう!と言って沙代が取り出したアイスはピンク色だった。

いいな。沙代は同じクラスだし、好きな人じゃないから自然に話せる。
いいないいな。と思って沙代を見つめる。

生ぬるい風がわたしたちの顔をなぜた時
「気が利かねえなあ戸田さんにもやれよう。」
明るい声の主が大輔くんをひっぱたいた。

初沢くんはクーリッシュを吸ってニカッと笑った。
「大輔、アホなの。」

野球部のみんなはケラケラ笑う。コジカも笑う。

大輔くんはちょっと不服そうな顔をして初沢くんを叩き返す。

ケラケラわはわは笑うみんなの中で、大輔くんと目が合う。

「はい、あげるよ。」

あげるよ。あげるよってわたしに言ってる。

「あ、ありがとう!」

思わず大きな声が出て、大輔くんは目を丸くした。
わたしは恥ずかしくて顔が熱くて下を向く。
そっと表情を確認すると、大輔くんはにやって感じに笑ってアイスの実を差し出していたから、私は慌ててアイスをとった。
黄色だった。