眼鏡越しの恋

その後ろ姿を唖然とした様子で見ていた匡は、同じように美香を見送っていた私に視線を落とすと、いきなり手を繋いできた。


「え、あの・・・匡?」


学校の中で手を繋ぐなんてこと、ほとんどないからびっくりしてしまった。
でも匡はそんな私の驚きの声も聞き流すと当たり前みたいな顔をして、繋いだ手に少しだけ力を込めた。


「よく見えねぇんだから、こうして歩いた方が危なくないだろ。ほら、帰るぞ」


そう言うと、手を繋いだまま歩き出す。
私は引っ張られるままに、匡について教室を出た。


繋がれた手が何だかとても熱い。
手だけじゃなくて、頬も熱いから、きっと私の顔は真っ赤になってるはず。


だって・・・まだ周りにはクラスメートも他のクラスの生徒もいっぱいいるのに。
手を繋いで歩くなんて恥ずかしい。


でも・・・嬉しいと思ってしまう私もいて。


ギュッと強く繋いでくれる匡の手を握り返しながら、一歩前を歩く匡の背中を見つめて歩いた。