それは俺がまだ1年だった秋のこと。
俺はそれからずっと、宮野に片思いしてる。


俺の見かけに寄ってくる女は多いけど、俺には興味はない。
宮野以外に興味なんてこれっぽっちも湧かなかった。


あの時見た宮野以上に綺麗な女は他にはいないから。
俺の心を奪うほどの女は他にはいない。


同じクラスだった1年の頃、そしてクラスが別れた2年になっても、俺はただ宮野を目で追っていた。


他のヤツらが“残念”だと評価するあの容姿だって、結局誰もちゃんと見ていないからだ。
けどそれは、宮野自身がそうさせている部分がある。
アイツはいつも長い前髪と赤い縁のメガネで自分の顔を隠していて、人の目から避けるように振る舞っている。
自分の本当の素顔を隠して、その奥の感情すら滅多に見せない。


例外なのは、宮野とよく一緒にいる女友達だけ。
そいつと一緒の時は、時々前髪とメガネの奥の素顔がちらりと顔を覗かせる。
普段は感情の起伏をあまり感じさせないのに、その女友達といる時は笑ったり、怒ったり少しはしゃいだり・・・普通の感情を垣間見せる。


それは宮野のことを見ていた俺だけが気付いていること。