「祥子、あんなの気にしないの。アイツらはただ瀬能君に挨拶されたアンタが羨ましいだけ。さすがの瀬能君だって祥子が女の子だってちゃんとわかってるって」
美香の慰めの言葉は有難かったけど、それを鵜呑みにすることはできなかった。
それよりもさっき廊下から聞こえてきた言葉の方が現実味を感じる。
だって、私が相手なんだもの。
瀬能君が女の子として見れないっていうのも納得できる。
「祥子!瀬能君のこと、変に解釈しちゃだめだよ」
黙る私に痺れを切らしたように、美香がイラっとした顔をして強く言った。
でも、美香・・・私にはわからないよ。
美香の言ってることの意味も。
瀬能君の態度の意味も。
何よりも、自分のこの感情の意味がわからなかった。

