その時、不意に上を見上げた瀬能君の鋭い瞳と目が合った。 「――――っ」 私の勘違いかもしれない。 瀬能君はすぐ、何事もなかったかのように他へ視線を向けたから。 瀬能君が私を見るはずもないし。 でも私の鼓動は教室で彼に見つめられた時と同じくらい、いや、それ以上に大きく鳴り響いていた。