そんな私を見て

 「もう無理しちゃだめだよ

 もしあれならさ、俺手伝いに来るから!

 いつでも言ってよ」

 ほんとどこまでも優しい人だ…

 こんなにも優しい人がこの世の中にいるなんて

 思ってもみなかった

 初めてあったのに

 まだ何も知らないのに

 私は彼に惹かれてしまった

 「じゃ‥」と言って彼が帰ろうとしたので

 慌てて

 「あ、あの

 えっとーそのー

 名前教えてください!」

 必死に出てきた言葉は噛み噛みで少し恥ずかしくなった

 彼はまた優しく微笑む



 この人だったら

 今まで経験した辛いことも

 苦しかったことも

 全部忘れられるかもしれない

 この人のことをもっと知りたい

 もっと近づきたい

 そう思っていたのに