「いらっしゃいませ…」

「ちょっと~何よその声!もっと元気にこんな風にいらっしゃいませー!!ってね」


「……」


何も聞こえなかった。
というか聞きたくなかった。

「布崎君のこと?大丈夫だって、心配しなくても!」


本当に大丈夫だといいんだけど…

やっぱり心配かな…



「空!ちょっといいかな?」

大介が私を呼ぶなんて珍しいな。
何か用でもあるのかな?まぁ、無かったら呼んだりしないよね……。


「うんいいよ」

私は大介の後ろをゆっくりとついていった。


しばらく歩いて、大介は中庭で足を止めた。すると、大介はこちらに向き帰りしばらく黙っていた。


その顔は、いつもヘラヘラしている顔じゃなく、真剣そのものだった。



「…実はさ…お前に伝えてなかったことがあって…」


こんな真剣な顔の大介は今まで一度も見たことなかった。

「……何?」

「…青のことなんだけどな、あいつ…実は好きな奴がいるんだって…」


…え?青に好きな人がいる?

私は自分の耳を疑った。
その瞬間ボロボロと大粒の涙が出てきた。