恋はとなりに


こ、告白!!!!


「え、、?今のって、告白?」


あたしはちょっとパニックになっていた。



「そ、そうだよ。」

河瀬君は顔を赤くして、あたしの目をチラッとだけ見た。


河瀬君の緊張感が伝わってあたしも一気に緊張した。


河瀬君は律儀に右手を差し出してお願いしているらしかった。
あたしは自転車から降りて自転車を止めてから右手を取った。

「…………いいよ。」

小さく言った。

「え?」

河瀬君は顔をゆっくり上げた。


スローモーションみたいにゆっくりした動作。

「いいの?」


確かめるように聞いてきた。

あたしはうなずいた。


「いいの?」


河瀬君はあたしの右手をそっと握り返しながらまた聞いてきた。


「いいよ。」

何度も聞いてくるからあたしは滑舌に注意してはっきり答えた。


ちゃんと聞こえるように。


河瀬君は信じられないといった様子で、天を仰いだ。

「ありがとう。」

と、空に向かって呟いていた。


駅前のベンチに座ることにした。

「なんか信じられなくて。断られると思ってたから。」


少し落ち着いた河瀬君が話してくれた。


「なんで断られると思うの?」


「友達としか見られてないと思ったから。」


「……友達としかみてなかったよ……?」

あたしの言葉に河瀬君は固まった。


「いや、でもさっ、これからは違うでしょ?」

河瀬君は気を持ち直して言ったからあたしはうなずいた。


「抱き締めてもいい?」





「え?」

引いてしまった。

「あ、じゃあ。手、繋ごう!」

河瀬君はあたしの右手を強く握った。


「痛いよ。」


力強さに驚いて少し怖くなった。


優しく握り直してくれた。


付き合うって………………………………。


何も考えてなかったけど、


距離が近くなることなんだな…………………………。


キスとかもするのかな、河瀬君と。


少し憂鬱になった。

「あたし、帰るね。おうちで心配してるかもしれないから。」

立ち上がった。
河瀬君も立ち上がった。

「送る!!」

「自転車だから大丈夫。またね。」


急いで、その場から離れた。