恋はとなりに


いい感じ。風向きは完全に変わった。

さくらはアニキのこと気にしなくなった。


気がする。


うん。

いい感じ。


今日も外は暑い。


もうすぐ、さくらがくるはず。



なんか、冷たいものでも出そうかな。


冷蔵庫をのぞいたけど、麦茶しかなかった。

なんてこった。

自転車走らせて、コンビニまで買い物に行った。


さくらのことを思うと勝手に体が動く。


アイスを買ってもダッシュで帰っても融けそうな暑さ。



ジュースと、プリンを二つずつ買って帰った。


昼過ぎにさくらはやってきた。


手慣れた風に入ってきて、俺の部屋のドアをノックする。


玄関のチャイムを鳴らした音を聞いた時からドキドキしていて、ドキドキを隠すのが精一杯なところもあるけど、


なるべく平静を装い、さくらを迎える。


おかっぱのさくら、背の低いさくら。見下ろすと髪にきれいな天使の輪ができている。

髪に触りたいのを我慢して、ジュースを取りに行く。


ジュースとプリンを出すと

嬉しそうに「わぁ、ありがとう。」

と受け取って食べ始めた。


「プリン好きなの?」


「うん。大好き。」

さくらは笑顔で答えた。


笑顔が俺に向けられたことに幸せを感じる。




さくらは俺が告白したこと、暑さのせいで忘れているのだろうか。

何もなかったかのような感じ。

忘れたふりをしているのか。


でも今そのことを切り出して、ぎくしゃくするのもやだし。
今のこの関係もまあまあ悪くないから忘れてくれていいことにする。