上田は彼女とは公言せずに控えめに時に積極的に、接してきた。
だいたい俺に合わせてくれるから居心地が良くなっていった。
テストも終わり夏休みに入ると、農作業してるさくらをよく見かけるようになった。
そして、初めてさくらが俺を訪ねて部屋に来たときは、心臓が止まるかと思ったくらい驚いた。
嬉しくてテンションもいつになくあがってしまった。
それであの大事件が起きた。
腕の中のさくらは華奢でただの女の子。
他の誰でもない俺の好きな女の子だってことに気づかせてくれた。
さくらじゃないとダメ。
またあの気持ちが強くなって。
俺はその夜、上田に電話して別れを告げた。
上田もすんなり聞き入れてくれた。
晴れてフリーになった俺は、さくらに一直線。
夏の暑さのせいか、夏休みと彼女と別れた解放感のせいか、なんだかわからないが突っ走って告白してしまった!
さくらを守りたい!そういう気持ちで抱き締めた。
さくらは腕のなかで気を失った……。
興奮して力が強すぎたのかと思ったけど、さくらを見ると顔は真っ赤になっていて目もつむっていたから熱中症かも、と急いでさくらの家に運んだ。
それからさくらのお母さんが、動揺してるみたいだから俺が医者を呼んだ。
点滴して、お母さんも落ち着いてきたから自宅に戻った。
目が覚めたら、連絡をくれる約束をした。

