さくらをムカついた次の日は、学校で上田とよく話した。
気を紛らわすためだ。
上田は話していて楽しかった。
頭の回転が早いのか、会話が弾む。
工藤より、砕けていてサバサバした部分もある。
町山とは比べたら失礼かな。はるかに落ち着いている。
今の俺にはちょうどいい話相手ができたみたいで、嬉しかった。
このまま友達でいられたらいいな、と思った。
上田を好きになれたらいいな、とも思った。
でも現実は………………。
4月のゴールデンウィーク前に、上田に放課後呼び出された。
一緒に帰ったことはなかったけど、その日初めて帰ろうと誘われた。
たかしは、何かを察知していなくなった。
上田と帰ると言っても駅までだ。電車は反対方向だから。
駅まで他愛のないこと話した。
駅に着くと、上田は立ち止まった。
「改札、入らないの?」
と聞くとうつむいてしまった。
一歩近づいて、上田は俺の腕をぎゅっと掴んだ。
「あたし、鈴木君のこと、好きかも。」
小さい声でそう言った。
「鈴木君はあたしのことどう思う?」
上田は目をくりくりさせて聞いてきた。
「どうって……。」
言葉に詰まる。上田が苦手な奴に思えてきた。
「嫌い?」
「嫌いじゃないよ。いい奴だと思ってる。」
ちょっとめんどくさくなって投げやりに答えた。俺としては突き放したつもり。
「じゃあ付き合って。」
俺のジャブ全然効いてなかった。
意外とハート強いな上田。
「うん。」
ついうなずいていた。
俺ってモテるのに何でさくらは振り向かないんだろう。

