初めてさくらを見た時に、なんだか嬉しくなった。
まだ中学生だったけど、さくらを一目見て気に入った。
それはアニキも同じだった
はず。
さくらは飾りっけのない、色気もないおかっぱ頭で引っ越しの挨拶にきた。
つまんなそうに終始うつむいたままだった。
なんだこいつ。って思ったけど、同時にいじめたいという不思議な衝動にかられた。
初めてだった。
当時、彼女がいたけど。今思えばつまらない女の子と付き合っていた。
告白されたから、付き合ってたんだけど。
同級生で、バレー部のキャプテンをしてる子だった。
明るくて、元気。爽やか。
それだけの子。
つまらない子と言うより
俺が、その子のことなんにもみてなかったのかもしれない。
中身なんてどうでも良かった。
付き合うこともよくわからなかったし。
一緒に帰るだけ。
そんな付き合いだった。
だから、さくらと出会ってからすぐにその彼女とは別れた。
さくらはやたらと家にきた。
家族仲良しなんだと思っていたけど、アニキを見る目がハートになってることに気づいたのは、
さくらが引っ越してきて、3日目のことだった。
家で、歓迎会という名目で宴会を開いた。
さくらもきた。
俺には普通の挨拶だけど、アニキに接する時は瞳に星が光っているみたいになった。
俺に接する態度とアニキに接する態度が断然違う。
あからさまな態度の変化、それも初めは面白かった。
でもだんだん、さくらが俺を見ないことに腹が立ってきた。

