好き好きって想い過ぎて、疲れた。

16才の時ちょっと田舎の町に家族で引っ越しをした。

その隣の家に鈴木カケル君がいた。4つ上のカケル君は大学生。背が高く顔も整っていて、こんな田舎にこんなカッコいい人がいるなんて!ととても嬉しかった。

最初は引っ越しも反対していた。中学の友達と離れちゃうし、空気がいいだけの田舎でコンビニまで2キロもあるし。
お父さんとお母さんが自然が大好きで、庭付きの家に憧れていたり草花を育てたり畑を持ちたいって言って、お父さんの通勤可能なこの町に決めたのだ。


引っ越しの挨拶も両親の後ろでうつむきがちに笑顔も見せず済ました。
翌日家の回りをぶらぶらしていたらカケル君が下から顔を覗きこんで

「なんにもないとこだけど、住んだら好きになるよ。」
って言ってくれた。
それがすごく爽やかで眩しくて太陽みたいにみえた。暗いあたしの新生活に光を射してくれたのがカケル君だった。

たったそれだけなのに、心を射ぬかれてしまったのだ。

それで話すたび好きになって。何かにつけて鈴木家に顔を出して。カケル君が居なくても家に上がりこんでお母さんとお話していたりした。

カケル君は初めは優しい隣のお兄さんだったけど。

だんだんあたしの気持ちに気づいてくると突き放すようになった。

彼女を紹介してきたり。

デートの話しをたくさん聞かされた。

でも16才の恋はそんなんじゃ止まらない。

止められない。

17才の時初めての告白。
イブにデートに誘ったけど約束はしてくれなかった。先約があるからって。