3人が固まっていた。
抱きしめられてるあたし。
抱きしめてるコウタ。
それを見ているカケル君。
最初に動いたのはコウタ。あたしを離した。それで起き上がった。
「お前ら何やってんだ。」
怒っているのか静かな口調で言った。
あたしも起き上がった。
「コウタがあたしのメモ取るから、揉み合いになってバランス崩れて倒れちゃったの。」
あたしの言葉にコウタも首をブンブン縦に振っている。
カケル君は無言で立ち去った。
あたしはコウタを見るとドキっとしてしまった。
「カケル君怒ってた?」
「さあ、微妙。」
なんとか言葉を交わした。
「じゃああたしもそろそろ帰るね。」
「お、おう。」
ドアを開けたら、カケル君と目が合った。カケル君は無言で下に降りていってしまった。
あたしはコウタのことを忘れてカケル君を追いかけたけど、カケル君はお風呂に入ってしまって会えなかった。
そしてとぼとぼ家に帰った。
コウタの腕太かったな。もう男の子じゃないんだな。
あんなに近い距離初めてでドキドキが止まらなかった。
次の日、畑に行こうと家を出ると、またコウタにばったり会った。
「あ、おはよう。コウタ、昨日ありがとう。いろいろ教えてもらって。」
「おはよう。また畑行くのかよ。遊び行こうぜ。」
遊びに誘われたのは初めてだったので、驚いていたけど、動揺しないようにした。
「うーん今度ね。こっちのほうか性に合ってる。」
と言って履いている長靴を指さした。
そのまま止まっているコウタを見ることなく、畑に向かった。
きゅうりとオクラを収穫して草むしりをした。
毎日のように通っているから雑草もそんなにはえていない。
草むしりをしていると、コウタが現れた。何も言わずに草むしりを始めた。
「コウタどうしたの?」
あたしが聞いても返事してくれなかった。
すぐ終わり立ち上がった。
「コウタ暇なの?部活でも入ったら?」
あたしは片付けをしながら再び言った。
「さくらが遊んでくれないから。」
コウタはすねたように、くちをとがらせてみせた。
「あ、彼女は?会わないの?」
「・・・・・・彼女とは昨日別れた。」
「え、なんで?昨日は彼女いるって言ってたのに。あ、フラれたんだ。」
あたしはからかって言った。
コウタは笑うでもなく、あたしを見下ろした。
あたしもコウタを見上げた。
距離は1メートルくらい。けっこう近い。
真剣な眼差しにただならぬものを感じ目をそらした。
足下にあった荷物と収穫した野菜の入ったかごを手に取り
「うちに帰ろう。」
と言って歩き出した。
「俺、さくらが好きなんだ。さくらが兄ちゃんのこと好きなの知ってるけど。でも好きなんだ。」
コウタは動かずあたしの背中に向かって叫ぶくらいの大きな声で言った。
あたしは突然の告白に固まってしました。

