学校に行くと、いつもの場所にももちゃんが一人で座っていた。
「おはよー。昨日はありがとう。」
と言って向かいの席に座った。
河瀬君は見当たらない。
「河瀬君は?」
「ラインしたんだけど……。既読にならない。さくらからも連絡してみなよ。」
「うん。」
ももちゃんに言われて、河瀬君にラインした。
“学校来てる?”
打った後で、気づいた。
あれ、なんか無神経かも……。あたしと別れたせいできずらくなってるのに。
でも打っちゃったもんは仕方ないな。
仕方ないよね。
「ももちゃん。彼氏と順調?」
「うん。すっごく順調。本当に幸せー。」
ももちゃんは見たことないような笑顔で言った。
その笑顔を見たらあたしも幸せな気分に少しだけなれた。
ももちゃんの彼は3つ上の会社員。
合コンで知り合ったらしい。結婚したいと言われていて。
ももちゃんはとても愛されているそうな……。
うらやましい……!
「ももちゃんはいつも落ち着いてたのに、そんなにラブラブだったのね。いいなー。」
「さくらも出会えるよ。素敵な人。近くにいるじゃないカケル君は?」
「カケル君?もうフラれてるし。それに、今はコウタの方が気になる。」
「でもカケル君はさくらのこと好きだと思うけどな。」
考えながらペットボトルのお茶を飲んだ。
そして、ももちゃんは閃いたように目を見開いた。
「あ、そうだ!さくらに紹介したい人がいるから今度出掛けよう。ダブルデート!!」
「えぇ、知らない人といきなりデート?」
「彼の友達なの。あたしも会ったことあるんだけど。さくらにぴったりだと思う!今度の日曜日開けといて、どうせ暇でしよ?」
ももちゃんはノリノリだったけどあたしは勿論気乗りしなかった。
人見知りだし。
ももちゃんの彼氏だって会ったことないのに。
しかも社会人だなんて。
うーん。
でも悲しいけど日曜日に予定はない。

