この街に

あたしの言葉に、彼も我に返ったようだった。


「…あんた、坂下さんの孫?」

「あ。えっと、はい。」



あたしが聞いたはずなのに、聞き返されてしまった。


「近所の、河崎だけど。これ、回覧板と、あんたのばーさんに頼まれてたもの。」


そう言って、回覧板と、なにか小さな紙袋を手渡された。