この街に

…ピンポーン、ピーンポーン…




家中に鳴り響くインターホンの音で、ハッと目が覚めた。



(え、ええっと誰だろう。おばあちゃんいないのかな?)

階段を下りながら夢のことを思い出す。
おじいちゃんが亡くなる前の、幼い記憶だった。


お父さんが仕事で忙しくて、寂しかったあたしを、お母さんはよくおばあちゃんの家に連れてきた。


──懐かしい。



あの頃は、今よりたくさんここに来てたなあ。