それらを見て、感じる時、私は夏も悪くないと思う。

単に感情に浸っているだけかもしれないが、妙に、生きているという実感が強く感じられるからだ。



下り坂をいくつも下りて、そろそろ"田んぼ道"に差し掛かるところだった。

この辺りから複数の子供達のぎゃーぎゃー騒ぐ声が厚みを増して聞こえて来る。


ああ、そうそう。こうやってこのくらいまで下りてくると毎年聞こえてたなあ、と小学校の方を見て思う。


私の"住んでいた"家は団地のほぼてっぺんの辺りにあった。

一軒家にしても隣の大きな家からすると小さい家で、反対側の隣には坂、前方にも坂という家と坂に囲まれた団地の家だった。

新しい団地というわけでは決してなかった為、新築と呼べる家は少なく、ほとんどが少し色あせた屋根や壁で、それがどうにも今の私には懐かしさを催す。


団地を下り、やっと平な地面の道路になると今度は小さな田んぼがいくつかひしめき、その隣には巨大なコンクリートの土台の上にこちらもまた少し色褪せた学校が建っていた。

つまり団地の下は右から道路、田んぼ、小学校の順に並んでいたのだ。