青の向こう




母は普通の人以上に人の目を気にするようになっていった。

だからか、結婚してから奈津子さんキツくなったわよね、とどこからか聞こえてきたこともある。


気立てのいい母親を証明するには子供が気立てが良くないといけない。

そんな周りの声を跳ね返そうと母は私に力を注いだ。

習い事から、言葉遣いまで。

でも決して私はそれを拒否したことはなかった。


いい子を演じるのは楽だったから。


窮屈だしそんなの母親のエゴだ、とドラマで清純派の女優がヒステリーを起こしたかのように言っていた。

そんなの考え方次第なのに、と私は思う。


いい子な私は私を守ってくれる。

誉めてもらえるし、出来る人は期待され、重宝もされる。

なにより優秀な外面は私のプライドを守ってくれる。


だから私は人を下に見ることができるし、自分は彼女達より上だと思える。


最低だと言われるだろう。

でもこれが私の内面なのだ。


殻が硬く、気高くないと私は私でいられない。

殻が私の武器なのだ。


だからこの状況は気分が悪い。