久しぶりに父の姉、私の叔母にあたる人の家に行っていた。
そこで間が開いたのと、そのきらびやかに上品な大人の雰囲気で優しく話しかけてくれる叔母だったから、つい敬語を忘れてしまったのだ。
「私もこれ出来るよ」
叔母の娘であり私の従兄弟の直ちゃんが子供がするのは難しいとされる、IQを計る簡単な問題を解けたという話だったと思う。
その途端、周りも含めて一瞬空気が固まり、綺麗な叔母の表情が止まった。
私はその時唐突に、いつも雪の様に白いと思っていた彼女の肌がファンデーションによる白さだと気付いた。
浮いた白。
私が更にその問題が、私の学校でも担任の先生からクラスみんなに出来るか試していて、私だけが出来た事を話した。
空気はますます重くなった。
それに気付いた母が血相を変えたように私を小声で呼び出した。
「響子、ちょっと来なさい」
直ちゃんは私より二歳上の小学四年生だった。
そして叔母の自慢の一人息子で、親戚一同から頭の良い子だと言われていた。
一方、私の方はどちらかというと勉強は出来る方だったのだろうけれど、並より少し上の程度だったし、当時7歳だった私は頭がいいかなんか分からなかった。
けど、昔からIQ系やパズルなんかのものは割と出来た。
それでもその簡単な問題が出来たのはたまたまだった。



