何もこんな暑い季節にそんな行事ごとを作らなくとも、と思うだろう。

実際自分でも不思議に思うわけだが、どうやら夏は私に人生の無情感を誘うらしい。


七日間しか生きられない蝉や、年に一度しかないお祭り、永遠ではない夏休み。

どれも好きなものなのにそれらが永遠に続くものではないと気付く瞬間がある。

それがどうにも切なくて、終わり際には脱力感や倦怠感が私を襲う。


私にとって夏というのは少しばかり特別な季節のように思う。


だからその散歩の最中、私は全身で夏を感じながら歩くのだ。


いつもはこの時間に歩いているだろう犬を連れたおばさんがいない坂道(きっと犬がバテているのだろう。またはおばさんの方かも)。

強く照り付ける太陽のせいで干からびた畦道。

透明なビニールの鞄を持って恐らく泳ぎに行こうとする小学生達。


そして、五月蝿く騒ぎ立てる蝉達の声。